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能登地震 SSには車が殺到、SSの設備には被害も (※非会員向け)

 【金沢】「令和6年能登半島地震」では、北陸各地のSSでも被害の確認が相次いでいる。営業可能なSSには給油を求める車が殺到。一部では数量制限が行われたものの、在庫切れも発生している。
 石川石商(吉原愼吾理事長)のまとめによると、2日午後3時現在で、輪島市内のSSでキャノピーやフィールドの損傷が見つかっている。珠洲市では津波による被害や液状化現象により、営業不能に陥っているSSがある模様。穴水町では計量機が浮き上がるなど地盤沈下の影響とみられる現象によって営業ができないSSもあるという。
 能登町・宇出津SS(ENEOS系)の数馬正社長によると、町内では家屋の倒壊や道路の亀裂などが相次いだ。2日は町内7ヵ所のSSの約半数が営業を行ったが、給油を求める車が列をつくったため、数量限定で販売。避難所となった施設からの要請で灯油の配送を行い「在庫がいつまで持つか心配。水道が止まっており、多くの住民が簡易トイレを必要としている」と話している。
  隣接する珠洲市・越後石油珠洲SS(出光系)周辺では、家屋倒壊などに伴い死者も出ているという。越後英明社長によると、事務所内は物が散乱。地下タンクは地盤沈下の影響を受けた模様で、レギュラーの配管が使えなくなった。営業は続けているが、ガソリンはハイオクのみの10リットル限定で対応している状態で「残量が3キロしかない。いつまで持つか。自宅も被害が大きく、道路もあちこち亀裂や陥没だらけ。こんな揺れは経験したことがない。陸の孤島になってしまった」と話している。
 正月で休業するSSが元々多かったところに地震が起きたことで、営業中のSSには給油を求める車が集中。SNS上には「金沢市内の山側環状線沿いのスタンドはどこも大行列」「計量機にレギュラー在庫切れの張り紙があった」などの書き込みが相次いだ。
 輪島市に通じる道路は不通が続いていたが、3日午前、県道1号線穴水~輪島間で通行止が解除された。ただ、4㌧車以下限定のため大型車は依然通行できない。輪島市内では緊急車両限定で給油を行っているSSもあり、配送ルートの確保が急がれる。
 珠洲市に通じる珠洲道路は通行可能で、全国から駆け付けた自衛隊や消防隊などが続々現地に入り、行方不明者の捜索、救助などにあたっている。越後石油では在庫の切れたガソリンを除き、3日も軽油・灯油を販売したが、停電が続いているため非常用発電機を回して対応した。
 富山県でも小矢部市の石黒産業小矢部インターSS(ENEOS系)では、激しい揺れで高さ約2メートルの防火壁のコンクリートブロックがずれて、東西の壁と南北の壁の接合部に最大10センチの隙間が生じた。敷地の端のため営業そのものには支障がないが、「余震で損傷が広がらないか心配。補修の手配をしたい」としている。