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珠洲 越後石油が懸命の給油活動 (※非会員向け)

油を求める車の長い列

 【珠洲=石川】能登半島地震ではSSにも深刻な被害が出ている。被災した石川県珠洲市の越後石油(越後英明社長、出光系)は、事業再開の見通しが立たないとして廃業することを決めた。
 同社の珠洲SSは激しい揺れで地下タンクが浮き上がり、配管が損傷。レギュラーガソリンの給油ができなくなった。このため、他の油種の在庫をタンクからくみ上げ、地震発生翌日から1人10リットル限定で地域住民に無料で提供したため、周辺には油を求める車の長い列ができた。
 越後社長によると、営業を再開するにはタンクを入れ替え、樹脂配管にすることなどが必要だが、SSのある同市宝立町周辺は家屋の9割が全壊。再建を諦め地元から離れる決意をした人も多く、「多額の費用をかけて改修したとしても、住民がいなくなった土地で商売を続けて行くのは困難」と、創業62年になる会社の幕を下ろす決断をしたという。
 今後は整理に入るが、越後社長は「残念だが、これも人生。2人の従業員については春のタイヤ交換シーズンが終わるまでは雇用し、再雇用先は責任をもって見つけたい」と話している。